妖精達の時間は、その生活と同じく、ゆっくりと過ぎていく。それでも止まっている
わけではなく、確実に前へと進んでいく。後戻りすることなく、戸惑うこともなく、た
だ、純粋に前へと。
 妖精にも、寿命は存在した。人と比べることはできないほどの長い時間をかけて、ゆ
っくりと彼等も老いてゆく。ただし、その姿も、生活もほとんど変わらない。
 ただ生きることに飽きた、摩耗した精神がそれを望むのだと、彼等の知る限りでは一
番長く生きた妖精が言った。

 ある妖精は、それを死とは呼ばなかった。生まれた場所へ帰るのだと。
 しかしファータは、それを確実に死と呼んだ。そしてそれを怖れてもいた。
 そんなファータに、なぜ、と友人は言った。
 それは、時間の流れと同じくらい確実に、彼女の身体を綻びへと向かわせていた。な
によりファータが、それを感じていた。例えどんなにファータがそれを望んでいなかっ
たとしても。
次のページへ